※角弓(?)鬱ダークな短文。
微グロ。耐性のない方は読み飛ばし推奨。 弓のエネルギー吸収は体質という考え前提。
<MAD XXX>と同系列。
――どくん ――
「ッ、ぁ、は―――」
鼓動は胎動
人の殻食い破らんと羽瞬かす人喰い孔雀
――どく ん ――
「う――く―――」
脂汗が額に滲む
立つことすら難しく体はずるずると襖に沈んだ
―― ど くん ――
【 紅イ月、隠レ鬼 】手が震え 視界が紅く滲む
膝から下が己の体でないように 重い
重く だるく 動かすことすら侭為らぬ
嗚呼 其れを良しと 其処に付け込んで
――どく どく ん ――
鼓動の音が耳障りに五月蝿い
はぁと吐く息は荒く 喉が引き攣って痛い
いやだ やめて
願うばかりで躯の中 殻を突き破り羽は輝く
もう いいかい ?
「ッ、や、め――ろ――」
皮膚に食い込んだ爪は赤く
滲む血はじわりと服に染み込んで消えた
何をかもを喰らいたくなる衝動
嗚呼 殺人 殺意 其れと呼ぶことすら生温く
「――オイ?弓親?」
――どく ん ど くん ――
「やめ、て――いっかく、あっちいって――」
鼓動は早く鐘打ち
喉の奥じわりじわりとせり上がる 何か
既に汗は冷やこい其れに変わり
止まぬ眩暈 益々視界は紅くなる 血の如く
「――何言ってンだ。大丈夫か?」
――ど くん どくん ――
「だいじょ、うぶ、だから、おねがい――」
空飾る紅イ月
人喰い孔雀の卵は生らば紅いのか
胎内の鼓動が月に呼ばれるように
嗚呼 益々 益々 早く強く打つ
「――本当に大丈夫かよ―入るぞ?」
――どく ん どくん ど くん ――
「っ、だめ、いまは、かえって――!!」
震えはいよいよ酷くなり
語る言葉は引き攣った喉を引っ掻いて
躊躇い 戸惑い 全て喰らうてしまうのか
じわり 羽一片 更に餌を求めて其の身を伸ばす
――どくん どく ん どくん ど くん どくん ――
もう いいかい ?
嗚呼 其の囁きに堪える事は出来ずに
牙向いた血肉色の羽瞬かせ
人喰い孔雀はヒトの命欲す
<之が是かと問われれば壱つの可能性に過ぎぬ>
紅い月に調子を狂わされて、力を制御できない弓親。
其のときは無差別に喰らってしまおうとするから、
親しいヒトを傷つけぬように篭っていればいいと思うのです。
だけど構ってくる相手も居たりして、居て欲しいのに来ないでと。
そう引き攣りながら叫ぶしか出来ない時も、美しいと思うのです。
PR