忍者ブログ
三条琉瑠@秘姫堂のHP兼ブログ。BLEACHで弓受で徒然なるままに。 新旧十一番隊最愛。角弓・剣弓・鉄弓などパッションの赴くままに製作中。パラレルなども取り扱い中。 ※お願い※yahooなどのオンラインブックマークはご遠慮くださいませ。
| Admin | Write | Res |
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
フリーエリア
最新CM
最新TB
プロフィール
HN:
三条琉瑠
性別:
非公開
自己紹介:
明太子の国在住の社会人。
小咄・小説を書きながら細々と地元イベントにサークル出していたり何だり。
弓受なら大概美味しく頂けます。



バーコード
ブログ内検索
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

※角弓(♀)←恋の恋弓ショートショートです。
 ちょっと普段のノリと違ってアレでナニでいかがわしいので格納対象。
 ハッピーではないです。暗くてドロドロ。
 


「ッ……!」

 がり、と。
首筋に噛みつかれ、柔らかな皮膚が傷つけられる微かな痛み。
組み敷かれ、抑えつけられ。それなのに。

「こんな、ッ…コト、して……ただで済むと、思ってるの…?」

 涙を滲ませながら睨み付ける瞳は何処か儚げで。
上気した頬の紅みが、背徳も何もかも打ち消して艶めく。

 ――嗚呼、一度転がれば二度と止まらぬ。


 【 黄泉比良坂 】

++++++++++++++++



「……アンタが」

 浮かぶ相手の涙にも構わず、欲情を走らせ続ける。
交じり合う汗の温さに感じた何かは、肌の上を滑って消えた。
ケモノじみた二人の吐息だけが、闇の中、確かに。

「言えるんなら、言えばいい。一角さんに」

 息を呑む声。恨めしげな視線。
滲む涙はほろりと毀れて。はらはらと止まぬ散華の様。
その眸が、きつく、憎しみと哀しみに、歪んだ。

「……卑怯者」

 ぱちんとその身弾かせる鳳仙花の如く砕ける倫理。
ソレは既に欲情を言うのも生温く、おこがましい、激情。
 荒々しく、唯、徒、ただ、欲して、貪って。
喰い千切るように交われば、絶頂の白さが近づく。

「アンタがッ……!」
「ひ、ぁッ…ふぁ、ん…くっ…」

 どろどろに蕩けてゆく。劣情と涙だけ抱いて。
理性を本能が上回り、欲望が全てを染めていく。

「アンタが、寂しそうな顔してるから…ッ!!」

 何もかもが剥がれ落ちていく。ヒトとヒトが埋め合って。
其処に後悔以外生まれぬ行為だと、十二分に理解していても。
 落ちる涙は散華の様であるし、砕ける倫理は弾ける鳳仙花。
経験も、思い出も、過去も何もかも。喰らうて喰らわれて。

「残してよ……」

 嬌声の淵から紡ぎ出された明朗な言葉に、恋次は目を開いた。
見上げるその眸は同じように涙に濡れたままなのに。
憎しみと、哀しみと、何もかも忘れたい快楽を孕んで。

「痕を、残してよ……この僕の、首筋に」

 気が付けば、再び首筋へ歯を立てて噛み付いて。
今度は皮膚を食い破って血を流させてやろうかと。
強く噛み付けば、微かな悲鳴が嬌声に混じって消える。


 ――嗚呼、嗚呼。
    一度転がれば二度と止まらぬ。
    此処から先は黄泉比良坂よ。


++++++++++++++++
黄泉比良坂→この世とあの世(地獄)の境目と言われている坂。
        一度過ぎてしまうと二度と戻れぬ場所。
        日本神話のイザナギとイザナミの話で有名。
BGM:妖精帝國『孤高の創世』
PR
designed by Himawari-you * phot by Art-Flash
忍者ブログ [PR]