※ダークでサイコでマッドな弓の短編。
微グロ。耐性のない方は読み飛ばし推奨。ひぐらしのなく頃に読んでいたらこんな感じの話が書きたくなりましたゴメンナサイ…
もしもこの命尽きて生まれ変われるのなら
慈悲心鳥になれれば良いのに
<MAD XXX> 蝶が、死んでいた。
夏の暑い日だった。
鳥に羽毟られ屑になった体。
壊されることを羨んだ僕の瞳は冷たかっただろう。
僕はお墓を作ってあげた。
掘るモノがなかったから大き目の包丁で。
隊舎の庭の木陰を選んで、一心不乱に掘り返した。
夏の暑い日だったから、あっという間に汗が浮かび、肌を転がってく。
もしも僕が死んだなら。
骨も残さず消えてしまえればいいと思う。
死した屍を晒すなんて醜いことは耐えられない。
花霞のように消えてしまい、皆の前に二度と現れなければいいのに。
もしも僕が死ぬのなら。
愛しい人に斬り殺されたい。
殺められて、踏みつけられて。
最後に愛しい人を瞳に焼き付けて逝けるのなら。
僕は己の為に生きてはいない。
ただ、この場所が好きで、この場所が全てで。
此処に居たいと思うたったひとつの信条だけが、僕を生かし続ける。
だから僕はこの身体を、命を、魂を、全て残らずこの場所に捧げて生きる。
あらかた掘った穴に蝶の残骸を入れたとき。
包丁で地面を掘る僕がおかしいのか、一角が来た。
確かにおかしいだろう。少なくとも一角が同じことをしていれば、僕は止める。
きろりと一角を上目遣いみ見詰めた目線は、感情を乗せる余裕がなく、空ろで。
「――何でもないよ――蝶の墓を作っていただけ――」
土を被せて大地に戻す。
面倒起こすなと言う一角に、そんなんじゃないと言葉を返して。
嗚呼可笑しい。何でもない筈なのに、喉の奥からくつくつと笑いが込み上げる。
盛り土を作って完成させた墓に軽く手を合わせると、僕は立ち上がって一角を見詰めた。
蜩の啼く声が、夏の熱線を浴びてじりじり焼ける。
「ねぇ一角、僕ね――死んだら、慈悲心鳥になりたい」
そうすれば何も考えず
この場所を想って啼けるから
<MAD END>
サイコでホラーチックな弓。
弓は十一番隊の為に生きていて、十一番隊のためなら死をも殺しをも厭わないんじゃないか、と。
でもそれは、一角の延長線上で、だけど一角だけを拠り所にするには心は大きすぎて。
だから”更木隊”としての十一番隊全てを拠り所にしていればいいと思う。
慈悲心鳥=十一と鳴く鳥。別名ジゥイチ。
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